音楽療法を取り入れよう

「同質の原理」でミュージックセラピー

まず、音楽療法の基本的な原理を知っておくとよいでしょう。それは、アメリカの精神科医アルトシューラーが唱えた「同質の原理」という理論。「自分の気持ちに合った音楽を聴いて、自分の気持ちを代弁してもらうことが重要である」ということです。
元気になるには次の3ステップ

  • Step 1 *同質の音楽を聴く
  • Step 2 *ココロを落ち着かせる音楽を聴く
  • Step 3 *仕上げにアップテンポの曲で元気に

ステップ1 同質の音楽を聴く

失恋した時、失恋ソングを聞いてどっぷり浸ったりした経験はありませんでしたか?
つまり、悲しい時には悲しい曲を聴き、イライラしているときには激しい曲を聴き、鬱々としている気分のときには暗い曲を聴くのです。鬱々とした気分のときに、気分を盛り上げようとして、わざと明るくアップテンポの曲を聴いたりすると、かえってストレスになったりすることもあるので要注意。まずは、自分の気持ちと同じ内容の曲を聞くことにより、ストレスを発散できるのです。

ステップ2 ココロを落ち着かせる音楽を聴く

脳波の種類
種類 周波数 状態
α波 8~12Hz 何かに集中しているとき、リラックスしているときに出るもの。この状態の時、能力が最大限発揮が可能といわれている
β波 12~40Hz 普段、生活し五感が働き、意識が緊張ているとき
θ波 4~8Hz うたた寝をしているとき、浅い眠りのとき
δ波 0.5~4Hz 熟睡している
γ波 25~26Hz 怒り、興奮状態にあるとき

ストレスを発散することができたら、第二段階。今度は心を穏やかに、落ち着かせるための曲を聴きましょう。これは、クラシックやヒーリングミュージックなどが良いでしょう。

近頃よく耳にするα波が出やすくなる音楽CDなどを利用するのも良いでしょう。α波はリラックスしているときに出るもので、α波が出てリラックスできると、抱え込んでいたストレスが薄れ、精神状態が穏やかになります。精神が安定すると、臓器の働きや血液の流れも良くなります。

ステップ3 仕上げにアップテンポの曲で元気に

最後の仕上げとして、気分を上昇させ、ポジティブになりたいときには、少しテンポの速い、明るい曲を聞いて、前向きな気分を作り出しましょう。あくまでも無理は禁物ですが「同質の原理」を忘れずに、自分の精神状態と相談して、聴く音楽を選びましょう。

いろんなところで「音楽療法」

胎教で音楽、というと、赤ちゃんに対して音楽を聞かせるようなイメージがありますが、実は赤ちゃんではなく、お母さんに必要なのです。母親の感情が安定すると、それが赤ちゃんにも伝わり、健やかに育ちます。
胎教にはクラシックやヒーリングミュージックが適しているといえます。

赤ちゃんばかりではありません。お年寄りの中には、あまりにも会話をしなかったり寂しさを感じ続けたりすると、それが原因で痴呆症になっていしまう方もいます。そんなときに有効なのが音楽。老人ホームで音楽療法を取り入れたところ、無口だったお年寄りがお喋りをするようになったそうです。これは、緊張が解れて精神状態が良くなったと考えられます。この場合の音楽は、クラシックだけではなく、懐メロや童謡など、お年寄りの知っている曲も良いようです。

私たちが普段何気なく取り入れている音楽療法が「カラオケ」。好きな曲を思い切り歌えば、それだけでもとても良いストレス発散になります。聞くだけでなく、歌う、演奏する、音楽に合わせて身体を動かす、そういった行為も、精神と身体にとても良い効果をもたらします。
音楽を少し取り入れるだけでも、随分とストレスから開放されるものです。簡単なことですが、やるのとやらないのでは全く違います。是非、お試しください。

童謡のふる里 埼玉県

埼玉県は、二人の有名な童謡作家に馴染みの深い土地です。一人は作曲家である下總皖一(しもうさかんいち)、もう一人は作詞家である清水かつらです。
下總皖一は、大利根町原道地区出身、「たなばたさま」「かくれんぼ」「野菊」「はなび」等の、広く親しまれている童謡や、唱歌、校歌などを数多く作曲しています。

下總皖一の生誕地、大利根町にある「道の駅童謡のふる里おおとね」には、下總皖一の銅像が建ち、人々を見下ろしています。また、大利根町の役場に隣接する「下總皖一資料館」では、皖一の遺族から寄贈された貴重な資料を見ることができます。
大利根町の南部を流れる中川に架かる豊野橋と新井大橋は、欄干にあるボタンを押すと、「たなばたさま」と「野菊」のメロディが鳴り響く「メロディ橋」。また、大利根町では、町内の小中学生、コーラスグループ、プロ歌手による「彩の国・童謡のふる里コンサートおおとね」が毎年開催されています。
一方の清水かつらは、深川生まれで、東京大震災で家屋・家財を失い、母の実家の新倉村(現在の和光市)に身を寄せ、その後白子村(現在の和光市白子)に移り住み、生涯を過ごしました。

現在、和光市では、駅南口の時計塔、樹林公園の時計塔、総合児童センターのカリヨンベルで、清水かつらの曲を耳にすることができます。また、白子橋の欄干には「靴が鳴る」の詩が刻まれており、白子コミュニティセンターには、清水かつらの常設展示場が設けられています。
そして和光市には、清水かつらの童謡を歌う「和光市少年少女合唱団」「コーラスめだか」「童謡を歌う会 靴が鳴る」等のグループや、清水かつらに関する催し物を開催する「清水かつらを顕彰する会」等が活動しています。