パン工房「小麦」

納屋の面影のこす、開放感ただようパン屋さん

表通りから1本入ったところにある、50年の歴史を刻むモダンな木造建築。焼きたての、おいしそうなパンの香りが漂う「ブランジェリーカフェ小麦」は、天然酵母のパン作りを修業された奥様の見富玲子さんが、ご主人清一さんの協力で、納屋を改装してつくった素敵なパン工房&店舗です。「このような難しい改装を、最初はどこにお願いして良いのかわからなかった」と清一さん。時代を経て磨き上げられた納屋の柱や梁などをそのまま使い、清潔感あふれる真っ白い漆喰とのコントラストが、目にも鮮やかに映ります。

細かな配慮で、お客様をあたたかく迎える

「住まいづくりのカウンセリングから導き出されるご家族の思いに、プロとしての味付けを加えたご提案をしたい」という設計士の平田伸夫さんは、今回の納屋のリフォームにあたり、お二人のアイデアを十分に活かしながら、ご夫婦の夢の実現を目指されたそう。壁一面を折り戸式のサッシにし、開けばテラスと一体になったり、床にはゴールデンオークのフローリングがしっかりと張られていたり。また屋根瓦だけ新しいものを葺くと浮いた感じになってしまうため、年月を経た母屋の瓦をはずして使うなど、細かいところまで配慮がなされています。

動きをスムーズにするための、こだわりレイアウト

「お年寄りの方にも気軽に立ち寄っていただきたいから」と、当初階段にする予定だったアプローチをスロープに変更。店内に入ると梁越しに吹き抜けの空間がひろがり、開放感とともに、天窓からの光で店内は明るい印象に。またお店のレイアウトは、厨房と販売所をわけつつも受け渡ししやすいよう機能性を重視。フロアはレジを中心に、お食事をするお客様、パンをお買い上げになるお客様の動線を確保した自然なつながりとしています。また特にこだわったのが、客席のテーブル幅。中央のテーブルはプレートが置けて、しかもお客様がほどよい距離で向かい合えるようにと計算しつくした寸法です。

時間を忘れて、家族でゆっくりくつろぎ時間を

小麦自慢のパン人気ナンバーワンは、メロンパン。天然レモンで香り付けされたおいしさは、あっという間に売り切れてしまうほど。
ランチは日替わりデリ2点がメインの「小麦プレート」と、日替わりキッシュがメインの「キッシュプレート」の2種類。どちらもパン(食べ放題)、サラダ、オーガニックコーヒー、プチタルト付きで値段は840円からと、とてもお手頃。週末にはグラスワインセットにして、この伸びやかな空間で、ゆったりくつろぎの時間を過ごすのも良いですね。「大人っぽいカフェ、自分が欲しい空間をつくりたかった」と玲子さん。朗らかに接客をする清一さんとのコンビネーションも、印象的でした。


DATA
店名 / パン工房「小麦」
http://members2.jcom.home.ne.jp/komugi/
所在地 / さいたま市見沼区大字南中丸316
営業時間 / 11:00~19:00
問い合わせ / 048-685-3013
お引き渡し / 平成16年8月
設計・施工 / 近藤建設

お店とKONDOグループ
「難しい改装で、私たちの要望も多く出したのですが、柔軟に対応していただきました。納屋の面影が生き生きしてみえる、新しいくつろぎスペースの実現に、妻も私も大変喜んでいます」 
見富清一さん