こだわりの店舗併用住宅で理想のカフェを実現

ヨーロッパの古い家をイメージしたカフェ

 「学生時代、ヨーロッパの古い趣がある食堂の写真を目にしたんです。一見、普通の家のような隠れ家的なレストランだったんですが、それがずっと心に残っていて、いつしかあの店のように居心地のいいカフェを作るのが夢になって」と語る久保田さん。 その夢を実現するために店舗併用住宅を建て、2008年5月に念願のカフェをオープンさせました。道路に面した1階前面が店舗スペース、1階後面と2階が住居スペース。 「いかにもケーキ店という店構えにはしたくない」という久保田さんの希望で、店舗入り口はガラス張りではなく落ち着いた木目調。まるで一軒家を訪れたような感じです。 店内の内装は、一般的な住居用のものよりも重厚な色合いのフローリングと清潔感のある白い壁を使用し、久保田さんのイメージ通り、どこか懐かしい雰囲気の外国の一軒家風に仕上がっています。 椅子や飾り棚などのインテリアも、ご自身が様々なショップを廻り探し出したこだわりの品です。なかでも優しい木目調の椅子はお店で見た瞬間に気に入り、そのデザインに合わせてテーブルも特注しています。

上/カフェで使用しているカップやプレートは、川越在住の作家・長野志織さん制作のオリジナル。
右/店の内装にマッチした温かな風合いの木の椅子。背もたれにバラが彫り込まれた、丁寧なつくりで久保田さんが一目で気に入ったのも頷けます。

スイーツ用と喫茶用、2つの厨房で店を切り盛り

カフェで販売しているスイーツは、すべて久保田さんの手作り。「お客様に喜んでもらえるものを作りたい」という久保田さんの思いは、厨房にも現れています。 ショーケースの後にあるスイーツ用の厨房と、カウンター席の奥にある喫茶用の厨房。店内に2つの厨房があるのです。 スイーツ用の厨房は、他店の厨房写真など、ご自身で集めた資料を参考にしています。広々とした調理台は、スイーツの生地をつくったり、伸ばしたりするのに十分なスペースが確保され、オーブンなどの機器も使いやすい位置に設置されています。喫茶用の厨房にも、性能はもちろんデザイン性に惹かれて購入したコーヒーミルやポットなどが整然と並べられています。 お客様に、少ない待ち時間でケーキやコーヒーを用意できるよう、それぞれの厨房で必要な機材が機能的に配置されているのです。 「自分のイメージや希望を伝え、それを形にしてもらいました。100点満点に近い形で理想を実現でき、毎日、店で働くのが楽しいですね」と久保田さん。

上/ドアを開けるとスイーツが並ぶショーケースが。目にも楽しいケーキは、どれにしようか迷ってしまいそう。ケースの裏手がスイーツ用の厨房です。
下/コーヒーを煎れながら、カウンター越しに常連のお客様とコミュニケーション。店内は「落ち着いた雰囲気でくつろげる」と、お客様にも好評です。

店とは異なる内装で、オン・オフの切り替えを図る

久保田さんのお宅は店舗併用住宅ですが、本当にいい仕事をするにはオンとオフの切り替えも大切。そこで居住スペースは、あえて店舗とは異なる内装にし、雰囲気を変えました。
また、廊下や階段の幅、住居部の玄関やトイレなどのスペースは、通常よりも広めにとり、日常生活をゆったりと過ごせるように工夫されています。2階には勾配天井のリビングとベランダも設置され、広々としたくつろぎのスペースも確保。
ただし、カフェの雰囲気を損なわないようにと配慮し、こうした生活感のあるスペースは建物の前面からは見えないようにしました。
穏やかで優しい空気が流れるカフェと、明るい雰囲気の日常空間。
この2つのコントラストが、久保田さんの充実した毎日を支えています。

店内は、フローリングはかなり濃い茶色、壁は白にし、落ち着いた雰囲気に(写真右)。いっぽう、住居部のフローリングは、あえて店舗のものより薄茶、壁はややアイボリーがかった色にし、明るいイメージにしてあります。



今回の物件の担当者からひとこと

店内内装は、久保田様のイメージをできる限り忠実に再現しようと、微妙な色合いにこだわり、外観にも生活感を出さないようにするなど、工夫を重ねています。近藤建設としては数少ない店舗併用住宅ということで、久保田様との打ち合せを通し、担当者として学ばせていただいたことが多く、感謝しております。

カフェ シエスタ
●営業/11:00縲鰀19:00
(月、第1、3火曜定休)
●所在地/入間市牛沢町7-4
●電話/04-2930-3604
●入居/2007年12月
●施工/近藤建設