宇佐見のブログ

總持寺祖院「鉄樹抽枝 石樹開花の心」

2025/07/15

先日訪れた、石川県輪島市にある大本山總持寺祖院。

能登半島地震から1年半年以上が経った現在もなお、現地には深い爪痕が残されており、

自然の力の大きさ、そして無力さを痛感する時間となりました。

建物の一部は立ち入りが制限され、参道にも崩落の痕跡が随所に残っていましたが、

それでも境内には静寂と荘厳が保たれ、

訪れる人を優しく受け入れてくれているような空気が漂っていました。

そんな中、心に残ったのが、山岡鉄舟による襖絵。

そこに書かれていた言葉「鉄樹 抽枝(てつじゅ しゅうし)、石樹 開花(せきじゅ かいか)」。

鉄の木に枝が伸び、石の木に花が咲く。

本来あり得ないことが起きるという「禅」の言葉。

「もうだめだ」そんな言葉を打ち消すように、

想像を超える奇跡や再生が、私たちの信じる力、動き出す意志の中に芽吹くことがある。

実際、復旧に携わる方々の熱意や、静かな力強さに心を打たれました。

今、私たちにできることは何か。

被災地に心を寄せ、支援の手を差し伸べると同時に、

足元を見つめ、日々の暮らしや仕事を通じて、

「希望の枝」や「未来の花」を育てていくことだと、あらためて感じました。

總持寺祖院でのひとときは、そんな気づきを与えてくれた貴重な時間でもありました。

一覧に戻る